木曜日, 12月 29, 2005

音楽エッセー(3)

ターミナルの主人公を探して

 20世紀で最も優れた 音楽家はビートルズだと多くの人が言う。もちろん私も大好きであるし、その意見に賛同したい。でもレコード・セールスなどを度外視 して、ただその作った曲の美しさにかけて考えると、あまり(他のジャンルから)知られていないベニー・ゴルソンを押したい。
 クリフォード・ブラ ウンを追悼した曲。『 I remember Clifford 』というメロディーを一体誰が、生み出すことが出来ただろう。かけがいのない誰かを失って哀悼、目の前に見ることが出来ないという現実を、 ずっしりと認識してしまう感動の曲。痛ましさの集大成でもある。
 トム・ハンクス演じる(空港内をさまよう)旅行者が探していたミュージシャンは 実在しているのである。彼のことをその映画の中に登場する架空の人物だと 考えないでほしい。 その曲目を勇気ある誰かが、日々リフレッシュさせて、どこかの場面で使ってほしい。過去の時代の音楽にしないでほしい。私たちも誰かを失って悲しむ心、共感する気持ちがあるからだ。

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