土曜日, 1月 28, 2006

スタンダード曲(25)

I Can't Give You Anything But Love

 題名からして、悲しくなってしまう。若い頃は、そうお金に頼らなくても、時間を潰せたけど。大人になると、こうも言ってられないよね。(捧ぐるは愛のみ、という邦題)

 愛聴しているのはソニー・スティットがVERVEで録音しているもの。’91年に発売されているCDなので(もちろん発売当初は’50年代のLP)14年も経っている。しかし、今日のヒーローはベースのレイ・ブラウン。ちゃちなステレオで聴いても、その音の破壊力にびっくりする。縁の下のベース弾き。

 それと、ヴァーヴというレーベルの無節操になんでも録ってやろう、そんな方針に胸打たれる。良いのも悪いのも、多数の録音をしないと話にならないよね。

東京スケッチ(4)


住めば都、改め、勤務地にすれば都。(神楽坂)

 粋、とか風情を感じさせる街。昔はもっと、繁栄していたのかも知らないけど、個人的には関わりない生活。(花柳界ってあるらしいね)今は、ただ無意味に足の向くまま、歩くにはとても楽しい。そんなに広くもないし、適度な坂があり、心地よい疲労がある。

 こぎれいな飲食店もあり、値段もそんなに高くない。なぜか80年代の歌謡曲をかける店やコンビニが付近に多数あり、その点(選曲センス)はなぞが深まるばかり。

東京スケッチ(3)


 築地(食通の基地)

 地名がそのまま、ある種のイメージを想起させることがある。ワシントンDCとか兜町とか、秋葉原とか。とにかく築地といえば、魚の終着地点。

  以前に行った時に、「ほたて丼」という看板をみたが、お店の中に入ることはしなかった。その食べ物の中味はいったいどうなっているのか? 生のほたてを 並べているのか? それとも煮たか、焼いたかしたものをのせているのか? 完成品をみることなく今日に至る。一度たべてみたいなあ。

 地理的には最近、汐留という最先端地域と繋がっている。電通のビルを横目に歩き、満腹の腹ごなしとして、浜離宮まで、てくてく散歩するのが気持ちいい。サーモンの本気の旨さを知ったのもここ。

木曜日, 1月 26, 2006

スタンダード曲(24)


Broadway

 このアルバムと関係ないが、タル・ファーロウというギタリストがピアノとベースのトリオで演奏しているバージョンが個人ベスト。

 簡単なリフの曲で、ギターもシンプルに(過度に凝ることなく)奏でていますが、それだけで絶妙のジャズになっている。

 最近の若い人が演奏するバンドって、ギター率が高い。ロックから入って、自然と移行したんでしょうかね。
 それにしても、このジャケット、クールですよね!

水曜日, 1月 25, 2006

今晩

 鬼武みゆきトリオのライブを南青山のライブハウスで聴きました。理科大の学園祭(本人が卒業生。凱旋ね)でグッド・ラックという曲を聴き、感心を持ちました。その後、ホーム・ページを覗き、今日に至ります。
 
 オリジナルの音楽がすべてメロディアスで、長年夢に見たような音楽の素晴らしさ(誰もが心の奥に抱えている旋律)を体感できました。自由であり、なおかつ爽快感も残ります。矛盾ですが、あまり有名になり過ぎないでほしいですね。

 ベースのグレッグリーさんのベースの躍動感が最高です。気軽に写真もとってくれ、帰りの満員電車でまた一緒になりました。ミュージシャンも、大変です。今後も頑張ってください。

 ギネスのパイントを飲み、ここち良い眠り。

 今日の一句。 デート中 紳士を気取り 席譲り 彼女の前で ポイントいち 

火曜日, 1月 24, 2006

スタンダード曲(23)


Autumn Leaves


 (枯葉)名曲中の名曲。シャンソンでイブ・モンタンが歌う。

Jack Mcduff ,organ
Lem Winchester ,vibraphone
Jimmy Forrest ,tenor sax
Bill Elliot ,drums

 このようなメンバーで1960年に録音されている。原曲のひらひら枯葉が舞うような、可憐な演奏ではない。もっと、力づくのブローあり、ごりごりしたオルガンありの、ディープなバージョンです。まるで、大木の枝を両腕で、ぐらぐら揺さぶるような、枯葉つぶしです。

 あなたが去ってから日がとっても長くって、もう間もなく、なつかしの音楽が冬の訪れとともに・・・

音楽エッセー(7)

Dukeに対しての講釈。

 2つのことを考えてみたい。有名になること。名前が多くの人に知られたり、見知らぬ人がそのことを会話にふく めたり。デューク・エリントンという人がい た。アメリカのバンド・リーダー。作曲家。長期にわたり、第一線で活躍する。それを、歴史の当然のように受け入れている、私やあなた。

 地上のどこかに同じような才能を持ちながら、有名にならなかったデューク・エリントンはいたのだろうか? 答えは否である。そのようなことはとても考えにくい。やはり、あの紳士然とした、風格ある音楽を作る能力があれば、誰も歴史の片隅に放っておかないだろう。

  その曲の作り方。メンバーのソロや、楽器の構成を考えて音楽を作っていく。サッカーの監督が自分の理論や作戦を大前提にしてチームやレギュラーを枠に、はめ込むのとは正反対の発想。能力があれば、人間の素材を真っ先に考えるのが、必然だろう。個性的でありながら、エリントン楽団の一員であり続けた人たち。

 その中で最高の個性や、クオリティーをみせた芸達者な面々。そこには人間の魅力にあふれ過ぎた現実が存在する。アラブのハーレムにでもいるような、体臭さ え感じさせる音楽である。それでいながら、ロミオ&ジュリエットを題材にした「スター・クロスト・ラバーズ」など新鮮(フレッシュ)な音楽も残している。

 

スタンダード曲(22)

All Of Me

 そうちょっとだけじゃなく、私のこころを奪ったなら、…

 これも誰もが認めるレスター・ヤングのアップ・テンポのバージョンがベストです。

 レスター・ヤングの人生。およそ50年ほど。若い頃、カウント・ベイシー楽団に在籍。コールマン・ホーキンスなどの豪快な奏法と比較される。かれの繊細で洗練された音色は過去になかったような気がする。ニューオリンズジャズの源流からはじまり、もしジャズという船が下流へと向かう途中で、ごつごつした岩を乗り越え大河へと移行して、こういう音楽にたどり着くと誰か予測できただろう か?

 その後、軍隊に入り、人種差別などを含め、ぼこぼこにされ、演奏自体も過去のきらめきが減少してしまった、とのこと。幾つかの本の受け売りです。

 彼の音楽の布石。いくつかの違った後継者。隔世遺伝のように白人のテナーマンに継承されていく。幾分、こじんまりとした形で。
 しかし、追随を許さない音楽。簡単には使いたくないが、天才である彼の人生からなにも奪われないでほしかった。

 

スタンダード曲(21)

I Did't Know What Time It Was

 時さえ忘れて、という邦題がついています。

 あなたが手を握った時、それは5月のような暖かさを感じたが、それはいつのことだったろう。

 レスター・ヤングが「The Jazz Giants '56」というアルバムで演奏している。メンバーがみな渋くて、仲良いおじさんたちの居酒屋での親密な会話を聞いているよう。

 こういう気取らない、気張らないリラックス充分の演奏で、一日の疲れを取りたいですね。半身浴のような心地よさ。
 

スタンダード曲(20)

Like Someone In Love

 最近、自分の行動に驚くことがある。これってまるで、恋に落ちちゃった人みたいじゃない、ていうか。
 そんな唄。

 隠れ名盤。アンドレ・プレヴィンがシェリー・マン、レイ・ブラウン、ハーブ・エリスという実力者3人と演奏した「4 To Go!」というアルバムでの演奏が必聴。

 アンドレ・プレヴィンさんはいつの間にか、ジャズから足を洗い、クラッシック畑の指揮者などをしています。たまに昔とった杵柄で、ジャズも演奏するが、 こちらも超一流。多才なんですね。デューク・エリントン曰く「良い音楽と、悪い音楽しかない」と言ってますので、ジャンル分けなど無駄でしょう。

 シェリー・マン名義の「マイ・フェア・レディー」も保存しておきたい一枚です。

月曜日, 1月 23, 2006

POPS名曲選(6)

Will You Love Me Tomorrow

 今夜は完全にわたしのものだったけど、明日はどうなるの? というような内容。

 ガールズ・グループのシュレルズのヒット曲。なんか健康だったアメリカの象徴のような唄。ベトナム前の繁栄の時、陰のない世界。

 この曲をフランス人のフランソワーズ・アルディも歌っている。声も歌い方も全部が好き。ある面、不健康で退廃感もそこはかとなくにおう。

2つのこと

 東京ホリディ という杉浦さやかさんの本を読む。本人が好きな東京の都市をイラストをまじえ、紹介している文庫本。知らない場所って、まだまだありますね。散歩ごころをくすぐられます。

 バーバー(The Man Who Wasn't There)コーエン兄弟の映画を見る。古いビデオが200円で売ってた。前に観たときはきづかなかったけど、スカーレット・ヨハンソンが出ていた。大物 になる予感。すでに大女優の仲間入りか。ウディ・アレンの映画にも出たらしいけど、はやく観たいもんですね。ビル・マーレィと東京を彷徨う映画も、フェルメールの映画も素晴らしかった。

日曜日, 1月 22, 2006

スタンダード曲(19)

That's All

 私は、春にあなたと田舎での散歩を一緒に楽しむことが出来るでしょう。(中学生の翻訳っぽい。)
 それが、ザッツ・オール。でも、要求は意外と小さいよ。

 茫洋としていますが、山に行ってロープウエー上から大自然を真下に見ているような状況を、この曲から感じる。達観したような心地。

 http://www.boscarol.com/nina/html/where/thatsall.html

 こんなサイトがありました。原詞が載っています。参考までに。

 また、ブルーノートのベニーグリーンです。(1599)ジーン・アモンズが名前を変えてアルバムに参加しています。契約の都合上なんでしょうが、良い演奏のためには多少はね。

スタンダード曲(18)

You're Mine You

 ちょっと恐い内容。束縛まるだし。曲調は穏やかなバラードです。
 トロンボーンのベニー・グリーンがブルーノート盤(1587)で演奏しています。アルバム名はBack On The Sceneでジャケットには、本人がタクシーを止めるような姿で映っています。戻ってきたよ! という印象で。

 ベースを弾いているのは、ジョージ・タッカー。跳び抜けて名前が知られていないが確実な奏者。全ジャンルでこうしたタイプの人物にひかれる。何事もそうですが、スターになる資質の人、時代を先導するタイプの人なんて一部の、ほんの一握りですもんね。

 曲自体を書いた人たちは、「Body& Soul」も残している。こう考えるとタイトルを見ただけで、ちょっと薄気味悪い感がある。そう羽交い絞めにして強引に口をこじ開けるような曲ばかりつくらなくてもね、と思うけど、とにかく、しみじみ名曲です。

豆腐より固くて白いもの(5)

「真夜中の告白」

 デュアメルというフランスの作家。ある会社員がふとした上司への行動(奇妙な)で職を追われ、その後の彼の生活が起伏もなしに語られていく。

  主人公はどこにでもいそうだが、やはりどこにもみつかりそうもない不思議な人物です。また出てくる人は、小心で人が良くて憎めない存在たちばかりです。 とくに母親は、その息子に何事も強要するわけではなく、淡々と彼との日常を認めていきます。彼も母も、自分の幸福ばかりを追求するでもなく、かといって大 幅に羽目をはずすでもなく、ドラマティックな展開とは程遠いです。

 こうした人物が街角のどこかに、満員電車のあなたの隣に、目立つこともなくいるかもしれません。スターにはなれない気質でしょうが、60億の一員と認めないわけにはいきません。

豆腐より固くて白いもの(4)

 「宙ぶらりんの男」

 ソール・ベローというアメリカの作家。一度、読んだ後に処分してしまったが、再読したいので、古本屋を探し、やっと見つけた。(絶版です)

 まっとうに生きようとする人間の悲哀を感じます。主人公は軍隊に入りたいが、手続きが遅れ、まさに社会に属していないような存在になる。その日々の鬱々とした体験を、ややぶっきらぼうな文体で(ぶざまな人生の一断面を)語っていきます。

 こういう作品を読むと、(運命の皮肉)経済的に無謀な形で成功しようとか、株価とかM&Aとか、まったく別世界に起こっていること。普通の人生でもそう かもしれないが、意識的に、金銭的に恵まれなくても関係ないや、という気持ちになる。ちょっと、未練は残りますが、ウォール街や兜町が人間のすべてではな いしね。時間があるひとは是非。