水曜日, 1月 11, 2006

音楽エッセー(4)

The Beat Goes On

 コンサート会場に行き、アップテンポの曲で手拍子や、靴を鳴らしてリズムを取る。そういう簡単な行為の中に、その人が受け継いでいる(内包している)リズム感が出てしまう。つまり、根本には音頭的なものが、体内のどこかに陰を潜めて残ってしまっている。いくら洋楽が好きだと宣言しても。

 ニューヨークの黒人たちが隆盛を究めている時代に、ホレス・シルヴァーが放つ音楽はどこか、周りと違っている。テクニックとかではなく、やはり、彼の高揚した時に、自然と溢れ出るリズム感が、知らないなりに私たちを魅了するのだ。共通の土台はないにしても、見知らぬ土地を夢見るような心地よさが、その音楽によってつながり、深い部分で共鳴する。誰しもが、波の音で安らぎを感じるように、太陽の日差しを望むように。ホレス・シルヴァーの音楽は流行には依存しないのだ。

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