木曜日, 1月 12, 2006

音楽エッセー(6)

 強烈なライバル

 あなたの行っていることを、直ぐ近くに自分より見事にやってのけてしまう人がいたらどうしたものだろう。違うことをして、その関係を回避したり、もっと努力して超えようと頑張ったり、いろいろ対処法があると思う。

 チャーリー・パーカーという歴史に残る先駆者がいる。その後を追うように、同じ楽器を演奏するソニー・スティットがここに登場。彼がどのように考えていたかは分からない。しかし、周囲の雑音は嫌でも自分の耳に入るはずだ。二番煎じ、エピゴーネン。だが、そんな意見があったとして、どうしたらよいだろう。自分のスタイルは、変えようもなく、これなのだ。乗り越えようと、もがくことなく、似ないように演奏方法を変えるわけにもいかないのだ。これこそ本当のジレンマだろう。



 でも、ソニー・スティットの残した、ある種あっけらかんとした音色に、救われることもある。私たちは、いつもいつも天才を待ち望んでいるわけではない。小さくても確かな手応えが欲しい時もあるだろう。そのような時にソニー・スティット以上の音色が必要だろうか。その先駆者より、相当長生きしたが、革命的な音楽家になることもなく、かといって、その音楽はもちろんつまらないものではない。

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