月曜日, 1月 30, 2006

トゥルーボイス(2)


受験勉強と、どこかの猫

 中学3年生の時、今までとは心を入れ換え熱心に勉強した。まだ全部屋にはクーラーがなかったので、夏休みの勉強がすむと、1階の和室で窓を全開にして横になった。そのまま寝てしまうこともあった。
 いま振り返ると、網戸ぐらいは閉めてたはずだよな、と思うのだが、なぜか見ず知らずの猫がお腹の上に乗って、また寝ていた。そんなことが数回あった。

 しかし、あの時には、とてもしっくりしていて、その猫の重みが受験勉強で疲れたぼくには必要だったような気がする。あの猫も安心して寝られる場所が必要であったように。どちらもお互いに依存している関係だった。確かに、寄り添っている関係だった。

 そうこうしている間に受験にも合格し、高校に通った。猫の存在も忘れていたが、ある日の帰宅途中、まさにあの猫(模様もそっくり)が塀の上を歩きながら、ぼくとすれ違った。でも、ただ似ているだけなのか、それとも、もうあのように癒しあう関係が終わってしまったのか分からないが、言葉もなく通り過ぎてしまった。あの夏の昼寝は、本当にあったのか? と疑問をもちながら、高校1年の夏に突入していく。

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